那須に別荘を新築してみた
那須別荘新築(もくじ)
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29. 在来工法

在来工法
在来工法とは、日本の伝統的な建て方で「木造軸組工法」とも言います。木と木を「ほぞ(柄)」と「ほぞあな(柄穴)」の「しくち(仕口)」で組み合わせることによって組まれた柱梁は、地震の揺れに逆らわずうまく吸収します。そのため日本の古い木造建築がいまでも残っているのです。日本で100年持つ家を建築するためには在来工法が一番適していると言われる所以です。在来工法とよく比較されるのが枠組壁工法(ツーバイフォー工法)です。枠組壁工法とは床・壁・天井の6面で支える工法で、地震に強いと言われていますが、別名プレハブ工法と言われる通り、パーツを組み合わせるように建築されるので、寸法など設計面で自由度が劣るという難点があります。ですから、どうせ自由設計で別荘を建築するなら、在来工法が絶対にお薦めです。もちろん、カオリの別荘も在来工法です。

実は、在来工法は都心では人件費が高くつくので、すでに衰退しています。そして技術を持った職人さんが職を追われ、会社員へと転身しているというのが現状のようです。それで仕方なく、職人以外の誰でも建てられて人件費が安く済む枠組壁工法(ツーバイフォー工法)で家を建てる人々が多いのです。しかし那須では、まだまだ素晴らしい職人さんが現役でお仕事をされています。都心ではすでに失われてしまった職人芸を存分に生かした贅沢な別荘を建築することが可能なのです。在来工法は、柱・梁の位置や長さなどを自由に設定できるので、デザインや間取りの自由度が高く、開口部も大きくすることができます。また、増改築への対応性にも優れています。家は構造さえしっかりしていれば長持ちします。将来、多少痛んできても、わずかな費用でいくらでもリフォームできるのです。

なぜ、那須では職人さんが在来工法でお仕事を続けることが出来るのでしょうか?それは都心と那須の人件費及び物価の違いに秘密があります。カオリが建築をお願いしている一級建築士の円谷さんが、上棟式の時にカオリの別荘を見て「もう都心ではこれだけの建築はできないでしょう」とおっしゃられていました。都心では人件費及び物価が高すぎて、同じ建てるにしても建物だけで総額が3倍くらいに跳ね上がってしまいます。それだけのお金になるのではカオリのような会社員には手が出ません。そもそも、都心には職人さんが居なくなっていますから、もしかしたらすでに幾らお金を出しても本物の家を建築することなど出来ないというのが現状かも知れません。

なお、在来工法で使用する木材は乾燥材が一番です。乾燥材とは、含水率30%位の生材の状態から、15%位まで乾燥させた木材のことです。木は伐採した直後は非常に重く、しばらく放置して乾燥してくると軽くなります。これは木に含まれている水分が減るためです。この水分の含有率を木材の含水率と言います。含水率の高い木材を使った住宅では、壁紙がはがれたり、隙間があいたり、建具の動きが悪くなったりします。これは、木材が水分を放出して収縮したり、曲がったりするためです。そうしたトラブルを未然に防ぐには、乾燥材を使うことが必要です。昔は、天然乾燥しか出来ませんでしたので「1寸1年」などといって、製材した木材を桟積みにして乾燥させました。4寸の柱ですと4年かかったわけです。現在は、人工乾燥が主流ですので、製材品を10日前後かけて乾燥機で乾かします。そのため、乾燥コストがかかるので乾燥していない木材よりも価格が高くなります(1.5倍くらい)。ですが、木材は含水率が低くなると強度が高まるというメリットもありますので、後から高いお金を出してリフォームするよりも初めから乾燥材を使う方がお勧めです。カオリの別荘ではリビングの吹き抜けに使用する化粧梁以外、柱はすべて乾燥材を使用します。リビングの吹き抜けに使用する化粧梁だけがなぜ生材なのかというと、これから建築を進めていくうちに乾燥して捻れたりヒビが入ることによって、自然の味わいが出てくるからです。

在来工法1
乾燥材と生材とでは、持った時の重さや質感が全然違います。乾燥材はすごく軽い!

在来工法2
リビングの吹き抜けに使用する化粧梁だけは木目や節目が美しく出た生材です。これから乾燥してどんな表情を見せてくれるのかとても楽しみです。

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