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那須別荘新築した体験談
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32. ウッドデッキ

ウッドデッキ
カオリは普通の住宅にとってつけたような感じで突然生えているウッドデッキが嫌いです。ログハウスでもないのにとても違和感を感じます。ですが、那須の別荘にはウッドデッキが付いているところが意外と多いのです。それは那須の仕事がほしい建築業者が「別荘にウッドデッキがあると格好いいですよ」などと言って、何でもかんでもウッドデッキを付けさせたという経緯と歴史があるからです。もちろん、少しでも工事費を上乗せしたいという思惑に基づいてのことですが、“別荘にウッドデッキ”というと施主の同意を得やすいということも原因です。中には別荘が建ってからでも「ほら、あそこの別荘にも付いたでしょう?格好いいでしょう?」などと言って、オーナーを“その気”にさせようと言い寄ってくる業者も居ます。「そうねえ。それじゃお願いしようかしら」などとうっかり言ってしまったら最後、“待ってました”とばかりに工事の手配をして、1週間くらいであっという間に組み立ててしまいます。そして事前の見積書もなしに、後から100万円以上の請求書を持ってきて「サービスしておきました」などとまんまとお金をせしめる業者もいますので、気をつけましょう。

さて、カオリの別荘は南欧風です。そこにウッドデッキが突然あったらかなりの違和感です。でも、カオリには夢がありました。「ウッドデッキで那須の雄大な風景を眺めながらコーヒーを飲んだり、バーベキューパーティーを楽しみたい・・・」。そんな思いを描きながら漫然と設計図面を見ていたときに、ダイニング側の窓から那須連山の雄大な景色がとても良く見えることと、敷地に少し余裕があることに気が付きました。「むむむ。これは!ここに、もしかしたらウッドデッキが作れるんじゃないかしらん?!キラリン」。思い立ったが吉日、カオリは早速、建築をお願いしている一級建築士の円谷さんに相談のお電話をしました。円谷さん曰く、「うーん、なるほど。そこでコーヒーなど飲んだら最高ですねっ。」とすっかり乗り気になってくれたのでした。しかも場所は建物の裏手になりますから、ウッドデッキが付いていても表からは違和感を感じることがなく、キッチンの横ですから食材の搬入・搬出も楽々です。ダイニングとは段差なしのオープンドアで繋げることになり、とても開放的で、ダイニングの延長のような素敵な空間となりそうです。こうなると、始めは「ウッドデッキ?」と考えていたカオリも、結局はウッドデッキを付けることになりそうな雰囲気が漂ってきましたので、ウッドデッキについて少し詳しく調べてみることにしました。

「バーベキューパーティーをしようということで、せっかく費用をかけて作ったウッドデッキが5年で腐ってしまった」というような話は、那須ではよく聞きます。ウッドデッキを長く美しく使うためには、用途にふさわしい材料選びを知らなければなりません。はっきり言って、5年で腐るようなウッドデッキは欠陥品です。「定期的に作りかえる必要があるんですよ」などという業者に都合の良い言い訳に耳を貸してはいけません。絶えず雨風、太陽の日差しにさらされるウッドデッキであっても、腐りにくく、変形しにくく、メンテナンスがしやすい材料をきちんと選んで使用することで、価格的にも手頃で手に入れやすく、しかも20年以上の耐久性を持つウッドデッキを作ることも可能なのです。

カオリの突然の要望に対して、円谷さんが提案して下さったのはメンテナンスフリーで耐久性抜群の”イペ”という木材を使ったウッドデッキです。イペは東京湾アクアラインの海ほたる屋上展望デッキにも使用されているもので、南米アマゾン川流域に分布し、丸太直径が60cmくらいの超硬質木材です。耐久・耐水・耐塩性が高く、防腐・防虫処理を必要としません。屋外においても半永久的に使用でき、乾燥材は、狂い・割れが少ないと言われています。一方で固いので、釘打ち・鋸引きなどの加工性が悪く、さか目、ささくれがあり、素足・素手には注意が必要とされています。加工直後は、褐色または黄色味がかっていますが、経年変化で酸化がすすむと次第に風合いのある銀灰色に変化してくるという楽しみもあります。25年以上は腐らないという耐久性をほこる南米産超ハードウッド材です。

長く持たせる為には材料を工夫する他に、ウッドデッキを雨ざらしにしないという対策もあります。母屋の屋根を大きく張り出させてデッキを覆う方法や、透明なポリカーボネイトの波板を使って屋根を作る方法などが考えられますが、いずれも少し違和感が残るのが残念です。那須の夏は夕立が多く、屋根付きのウッドデッキは非常に重宝します。屋根を付ける為に何か洒落た方法は無いものかと探しているのですが、今のところ良い方法には巡り遭えません。

初夏。ウッドデッキで那須の涼しいそよ風に吹かれながら頂く一杯のコーヒー。遥か遠くに見えるのは那須連山の雄大な景色。「うーん、癒されるぅ」。思わずホッとつく小さなため息。そんなことを思い浮かべながら、またしても一人でニヤニヤしているカオリなのでしゅ。

※注) ウッドデッキに向いている木材としてはイペの他に、お台場のデックスで使われているセランガンバツというインドネシアの超硬質木材や、新宿タイムズスクエアで使われているオーストラリアの超硬質木材ジャラ・プライム、ディズニーシーで使われているウリンというインドネシアの超硬質木材などがあります。

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