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那須別荘新築した体験談
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38. 高気密・高断熱

高気密・高断熱
「最近、高断熱・高気密という言葉をよく聞きますが、正しくは、高気密・高断熱と言うべきです。本当に重要なのは、家をきちんと高気密化できるかどうかなんですよ」。あるとき、建築をお願いしている円谷さんから、そんな事を言われたことがありました。その時は「そうなんですか」と、よく分かりもせずに答えていましたが、最近になって、その言葉が持つ意味について、ようやく少し理解できてきました。古来は数百年の耐久性があった日本の“優秀な木の家”が、20年から30年で劣化する“ダメな家”となってしまったのは何故でしょうか?それは、冷暖房への抜本的な対策を怠った行政と、問題を知りながら住人の健康よりも目先の利益に重点を置いたハウスメーカー、そして住宅に対する無知を補おうとしなかったユーザーが、その場しのぎの中途半端な密閉と中途半端な換気によって、事態をさらに悪化させていったことに原因があります。

古来から日本の高温多湿に適合する工法として利用されてきた風通しの良い高床式工法は、関東大震災後の建築法によってコンクリート布基礎に変わりました。ここから日本の住宅の短命化が始まりました。戦後、ストーブ暖房の効率を上げるため、さらに密閉化が進むに従って、短命化にますます拍車がかかりました。

短命化は、中途半端な密閉と中途半端な換気によって室内に余分な水蒸気が取り込まれ、飽和水蒸気量を超えた水蒸気が「露」として付着する結露現象が、壁の中や床下、天井裏で次々に起こったことが原因です。それらの結露(屋内結露及び壁内結露)は、やがて柱などの構造材そのものを腐朽させました。さらに腐朽の過程で発生したカビやダニ、室内で使用される大量の化学物質等は室内の空気を汚染して、シックハウス症候群を引き起こし、大きな社会問題にまでなりました。

高温多湿の気候である日本で家を長持ちさせるためには、湿気の影響を最小限に抑えることが必要です。それには、高床式工法のような徹底的な開放か、もしくは完全な防湿・密閉しかありません。“冬に風通しが良すぎて寒いのは嫌だ”ということであれば、必然的に、完全な防湿・密閉化への道を進むことになります。完全な防湿・密閉化とは、基礎の部分までを含めた家全体を一つのシェルターとして考え、余計なほこりや寒さ、音や水蒸気を完全に遮断した密閉化された居住空間を作り出すことです。そうは言っても、家の中で人が生きる為には空気が必要ですから、空気だけは機械換気によって計画的に取り入れる必要があります。

完全な防湿・密閉(=高気密化)が施された家に、適切な断熱処理(=高断熱化)を行ない、適切な換気(=24時間換気)を行えば、屋内の水蒸気量が常に適切に調節されて(湿度40%〜60%)結露現象が起きないため、結露を原因とした構造材の腐朽が起こりません。木材は腐朽させなければ、数百年で最高強度に達すると言われていますから、構造材に木材を使っても、数百年以上の耐久性をもつ家を建てることが可能となります。また、室内の水蒸気量が適切に保たれているという状態では、ダニやカビも繁殖できないため、それらを原因としたシックハウス症候群やアレルギー性疾患を予防できます。さらに、24時間換気によって室内の化学物質濃度も最低限に抑えられます。

なお、高気密・高断熱住宅では、結露を起こさせない為にどの部屋も15℃以下にならないようにする必要があると言われています。そのため、パネルヒータを利用したセントラルヒーティングを導入し、家全体を暖房することがお薦めです。高気密・高断熱住宅では、冷暖房効率が非常に高く、熱容量が大きい(一度暖まると冷めにくい)ので、経済性と快適性が両立します。円谷さんによると、「冬でも家の中ではTシャツ1枚、ちょっと外出するのにも身体が芯から暖まっているので全然大丈夫」というようなお話は、実際に住んでいる方々からよく聞かれるそうです。夏は窓からの陽射しさえうまく遮断してやれば、24時間換気による調湿効果と少しのエアコン稼動によって、室内ではサラッとした“南の島にいるような快適さ”を得ることが出来ます。

日本古来の開放的な高床式工法では、那須の厳しい冬の寒さを乗り切る自信はカオリにはありません。だからといって、中途半端な密閉と中途半端な換気の家ではシックハウスが心配です。なので高気密・高断熱、24時間換気の家にしてもらうことにしました。これで1年中快適に過ごせるじょと、心密かに期待して、楽しみにしているカオリなのです。

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