を新築してみた
那須別荘新築した体験談
那須別荘新築(もくじ)
search

47. 大工の請負

大工の請負
「建築士を通さずに直接、大工に頼んだ方が安いと思っている人も居るようですが、止めた方がいい。それは“大工の請負”と言って、高い工事料金を吹っかけられるのがオチです。職人は普段から苛められている人が多いから、たまに素人が相手だと“思い切り食っちゃえ”ってな感じで手抜き工事で高い料金を吹っかける。素人は細かい所まで原価計算が出来ないから言われるままに高いお金を払う。そうやって高い料金でいいかげんな家を建てられて泣いている人が那須にはあまりにも多いんです」
円谷さんが“大工の請負”について語る時はいつも、自然と熱い口調になっているのが分かります。カオリはその言葉を聞くたびに、「ああ、円谷さんは那須で騙されて、ひどい家を建てる人が多いのを知っていて、本当に悔しいんだろうな」とちょっと哀しい気分になるのです。

建築士は医者や弁護士と同じで、あらかじめ決められた設計料(工事費の約10%)をとり、顧客の利益を守る代理人として建築の監理を行なう職業です。医療のことなら医者に、法律のことなら弁護士にお願いするのと同様に、建築のことなら建築士にお願いするのが当たり前です。特に建築業界には、相手が素人なら詐欺師のようなことを平気でするような業者が多く、細かな原価計算も出来ない人がおいそれと手を出せるような分野ではありません。やはり建築はプロの建築士にお任せするのが一番なのです。

ところが那須には、口先営業だけで何もわからない素人同然の人が職人を金銭だけで動かして別荘を建築しているという例も多く、大抵は完成した後はトラブルとなっているようです。そのような人に建築を依頼するのは、無免許の医者に診療をお願いしたり、法律の素人に弁護をお願いするようなもので、とても正気の沙汰とは思えません。では、どうしてそのような人に建築をお願いして、欠陥住宅の被害に遭う人が後を絶たないのでしょうか?

それは、那須で土地を買った人が、不動産屋に紹介された業者に、そのまま別荘建築をお願いするケースが多いのが原因のようです。土地は手に入れた、さていよいよ別荘の建築だ、と思った時に「いい業者を紹介しますよ」と来れば、「そうですか、お願いします」ということになり易い。そうやって不動産屋から、口先だけで何も分からない素人同然の人を紹介されて工事が始まり、あっという間に別荘が完成して、でも実は欠陥住宅だったというケースが多いのです。

気密も断熱も考えられていない別荘で、冬はいくら暖房をしても暖まらず、梅雨時には家中にカビが生える。カビが生えたと業者に文句を言えば「いやあ、新築当初はカビが生えるのが当たり前。3ケ月もたてば自然におさまります」などといい加減なことを言われ、渋々納得する。そんな被害者があまりにも多いという現状に、カオリは本当にアタマに来ています(カオリは幸運にも間一髪で被害を免れましたが)。一度生えたカビが自然になくなるなんてことは有り得ません。それは、お風呂のカビを見たって一目瞭然です。酷くなることはあっても自然になくなるなんてことはないでしょう?もし、目に付くところからカビが無くなったとしても、壁の中では着々とカビが増えて、家を蝕み、人の健康を蝕んでいきます。

また、たまに施主が自分で職人を探して、自分が建築士のような感覚で別荘を建築したり、増改築をしたいと考える人も居るようですが、カオリはあまりお薦め出来ません。それこそ“大工の請負”の格好のターゲットとなって、手抜き工事で高い料金を請求されるのがオチです。以前に建築士へお願いした時に対応の良かった業者だからと言って、今度は自分で直接お願いしようなどとは考えないことです。その時は建築士がいたからきちんとした仕事をしてくれたのです。素人が直接仕事をお願いしても、同じように仕事をしてくれると思ったら大間違いです。そういう場合、大抵は“大工の請負”の被害に遭ってしまいます。

「ウチと付き合いのある大工には、そういった小遣い稼ぎのような“大工の請負”をしている人は一人も居ません。また、そういうことをしている大工は信用出来ないから、付き合いたくないですね」
そう言い切る円谷さんには、何だかスゴイ自信と誇りが感じられてとても頼もしく思えました。

那須には“大工の請負”を巧く活用しているつもりで、各職人を金銭だけで動かし別荘を建築したり、増改築をしている詐欺師たちがたくさん居ます。そういうインチキに引っかからないように、くれぐれも注意して欲しいと願っています。

<<戻る | 次へ>>




那須に別荘を新築してみた Copyright(C) 2001
KAORI All Rights Reserved.