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55. 失敗とやり直し

失敗とやり直し
「家作りにぜったい失敗したくない、そう考える人が多くて困ります。そのため一つの問いかけに対してすぐに答えが返ってこない。考え込んでしまうんです。一つのことに対して考える時間はせいぜい一週間ですね。それ以上長いと作業が前に進みません。失敗したらやり直せばいい。それが本来のリフォームという考え方です。そういう柔軟な発想があった方が結果としては良い家ができると思います」
先日、円谷さんがそんなことをおっしゃっていました。カオリはなるほどと思うと同時に、家作りに対する思い入れの強さが、かえって多くの人々から自由な発想とチャレンジ精神を奪っているのだなと感じました。家作りには、お金がかかります。大金を注ぎ込むのだから失敗したくない。そうリキんでかえって失敗する。そんな人が意外と多いのではないでしょうか。

円谷さんとの打ち合わせで見せて頂く洋雑誌には、お洒落で素敵な家がたくさん載っています。ビビットな色で壁を塗ってみたり、天井にブリックを貼ってみたり、タイルの模様で遊んでみたり。雑誌の中にあるその世界は、楽しい遊び心で溢れています。そしてそれらがセンス良く組み合わされることで、全体としてはとても魅力的で素敵な空間に仕上がっているのです。そこには「失敗したらどうしよう」などという臆病な精神は見えません。むしろ「失敗したらやり直せばいい」という積極的なチャレンジ精神で取り組んでいる様子が伺えます。

「寸法が1ミリずれてるとか、小さなキズがあるとか、そういったことでクレームを付けてくるお客さんもいるんです。そんな時は本当に参ってしまいますね。木は生き物だから乾燥すれば反りもでます。それに職人が手で作っているのだから小さなキズを付けてしまうこともあるでしょう。手で塗った壁は凸凹もします。だけどホンモノの材料を使えば、それらはすべて味になるんです。時間が経って古くなったり、キズや汚れが付いても、それらがすべて味になる。それがホンモノの材料で作られた家です。工業製品は機械で作るものだから確かに新品の時はキズ一つ無いピカピカな状態でしょう。でも古くなればただのゴミです。決して味がでてくるようなことはない。大手ハウスメーカーが作る組み立て式の工業製品の家なんて、古くなればヒドイものですよ。とても見れたものじゃない。それでも、一時の見た目のキレイさに騙されて、それを買ってしまう人が多いのは非常に残念なことです。50年後、100年後にどう見えるか。そこまで考えて家を買っている人はほとんどいません」
そう円谷さんは、手作りでホンモノの家を作る大切さを教えて下さいました。そして何度も現場を訪れ、実際に職人さんたちが丁寧にお仕事をして下さっている様子を見て、こんなにも多くの人々の手で少しずつ完成していく家は本当に幸せなんだなあとつくづく実感しました。

「あれ?ここに洗濯機が入るんですよね?」
カオリは、洗面台の下に入る筈の洗濯機が外に置いてあるので聞いてみました。
「ああ、それは入りません、失敗しました。」
涼しい顔をして答える円谷さん。
「ええ!?失敗したんですか?」
驚いて聞き返すカオリ。
「はい、失敗しました。寸法が足りなかったんです。なーに、ちょっと壁を壊して入るようにしますよ、ははは」
豪快な円谷さんのお答え。
「はあ。ところで、この壁の穴は何に使うんですか?」
壁に開いた三つの穴を不思議に思うカオリ。
「ああ、二つ余分に穴を開けてしまいました。なーに、塗り壁だから後で埋めておきますよ、ははは」
そんなやりとりや変更がしょっちゅうあるのが本当の家作りらしいです。考えてみれば図面で引いたものがそのまま現場で必ず巧くいくとは限りません。むしろ今までやったことがない作業であれば、試行錯誤の部分が多いのが現場作業というものでしょう。だから寸法が合わなかったり、間違えて穴を開けてしまったりということもしょっちゅうあります。

人間がやることに完璧な事など有り得ません。むしろ何度も失敗して当たり前です。失敗したらまたやり直せばいい。そう考えれば随分と気が楽になるはずです。ですから、これから家を作ろうと考えていらっしゃる方は「失敗したくない」と臆病な心にならずに、自由な発想でチャレンジして頂きたいと思います。迷って、どうしても自分で結論が出ないときには建築士さんの意見を聞きましょう。建築士さんは何百軒も家をみているプロなのですから、素人が考えるよりは良い提案をして頂けるはずです。そして期間を決めずに考え出すとキリがありませんから、円谷さんの言われるように一つの事案については一週間と期間を決めて考えることも大切です。その結論が間違っていたら?またやり直せばいいではないですか?それが家作りというものですよ。

円谷さんの建築される建物は基礎的なハードの部分(基礎構造や屋根素材、高気密・高断熱、柱の太さなど)がしっかりしていますから、後の味付け的なソフトの部分はいくらでも変更がききます。家族構成が変わったら間取りを変えてもいいし、収納が足りなくなったら作ればいい。壁が汚くなったら塗り替えればいいし、蛇口のデザインに飽きたら交換すればいい。造り付けの机だって、造り付けの食器棚だって、あとからリフォームは自由自在です。だから気軽に家作りを楽しんじゃいましょう。滅多にできる経験ではないのですから。

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